意地悪な片思い



 カタカタカタと音をたたせながら、私はキーボードを打ち進める。

週末が明けた今日、変わらず私は仕事に精を入れていた(手を止めたら最後、その人のこと考え始めちゃう…って言わなくてもわかることでしょ?)

 出勤してすぐ頭の内で考えた計画を淡々とこなす…うーん、悪くない。
順調に進む午前、この分だと定時で帰れそう。私は長嶋さんのもとへ現段階を報告しに行った。

「んー、ありがとしといてくれて、じゃぁこれ預かるね。」

「はい。」
 差し出した書類を長嶋さんはペラペラっと何枚かめくって見せながら、デスク上に置く。

「これから昼?」

「はい。」

「あーじゃぁ給湯室の冷蔵庫の、茶色い袋?だったかな、それどっちか取りいってくれる?」
 茶色い袋?なんかその袋、見覚えあるような…。

「速水が看病のお礼にサンドイッチだって、あとたぶん缶コーヒーも入れてるって言ってたかな。

お昼忙しくて買えそうにないから、コーヒーは冷たいので申し訳ないけどって。朝連絡来ててさ。」

「そう、ですか……。」
 やっぱりあのサンドイッチか。

 仕事で忙しいって、電話で内川くんと話してたの聞いてたんだから、気配らなくていいのに。速水さんの内情知ってる私にとっちゃ逆効果だよ。

速水さんちゃんとお昼取るのかな。取りそうにないなぁ。


「ちゃんと帰れたんだろ?金曜。」

「あぁ、はい。ちゃんと。」

「よかった。」
 にこっと笑った長嶋さんに少しだけ罪悪感を芽生えさせながら、私は給湯室へ向かった。

その間、速水さんの席の方を覗いたけど彼はいなかった。