意地悪な片思い


「もうちょっと頼ってくださいね。
だから木野さんも、速水さんのこと無理やり休めさせようとしたんですから。」
 速水さんがおとなしく休憩取ってたら、ハグに近い恰好になることもなかったんだぞ。

「…やきもち?」

「ば、ばか言わないでください!」

「違うの?」

「あ、う。えっと…うん、違うくない。」
 私は恥ずかしくって彼の肩に頭をこすりつける。

じんわりと触れてるとこに彼の熱を感じた。あと、彼の匂いも。ちょっとだけ苦い、ビターチョコレートみたいな…

そうしてる私の体を速水さんはぐいっと掴んで離した。

あ、今は…!
露わになる私の表情。

「顔、真っ赤だ。」
 速水さんがハハハって笑う。

「…もう、ばか。」
 私は彼の胸を洗剤がついてる手で軽く叩いた。

「市田。」
 その手を彼が掴む。

「何ですか。茹でタコってことぐらい…あっ。」
 伏せてる私の顔を、彼は無理やりくいっと顎に手を添えて上を向かせた。

こ、これって。

「嫌だったら殴っていいから。」

 へ?

「ごめん殴られねーと、いま止まんない。」
 彼の顔が私のに近づく。

や、ちょ、はやみさん…!そんな急に!

どんどん濃くなっていく彼の香りに、私の手が彼に抵抗する。

でも、

「いちた…」

 わたし、いやじゃ―――

「ばか、目つむんな。」

―――ない。

彼のそれが私のに落とされた。