意地悪な片思い


「昨日よく寝れた?」
 速水さんがみそ汁を飲んだ。

「あぁはい。」
 おかげで寝過ぎちゃって、今一緒にごはん食べちゃってますから。

って、ちょっと待てよ。

私、昨日最初寝させてもらってたの…ソファだよね?そこにある薄い布団かけて座って寝たよね。

でも朝起きて、広がってたのはパキラとモノクロのカーテン、それに灰色の厚い布団。

つまり――――、

「あの。」

「何?」

「私、昨日そこで寝させてもらったはずなんですけど…」
 速水さんが今座っている場所の、そのすぐ後ろにあるソファを指さす。

「…いつ私のこと、運びました?」
 自分で動いた記憶なんてない、ていうか寝ぼけて移動するわけがない。
そしたら残る可能性は、

速水さんが私のこと運んだってこと…だけだ。

そして運ばれたってことは、
速水さんと同じ布団で寝たかもしんないってこと、だ。


「…かわいい寝顔で。」
 くすっと彼が笑う。

「っ。」
 頬が一気に朱を帯びていくことが自分でもわかった。

彼ははっきりと肯定はしていないけれど、速水さんの狡猾そうな表情に私はすぐに確信する。

一緒に寝たんだ……!

たぶん私がそこにいるのに気が付いたときに、速水さん運んだんだ。熟睡しちゃってて、それが何時だったのか私は分かんないけど。

「顔ゆでタコみたいになってるけど?」

「う、うるさいですよ。」
 私は慌ててみそ汁を飲む。

「あちっ。」

「ばか。」
 何やってんだよ、速水さんがまた笑う。

一緒に寝たってこと知って、動揺しないヒトなんているわけないじゃんか。