速水さんがお椀にみそ汁をつぎ始める。
二人分終えると、ガスを止め
「で?」
「え?」
私にぐいっとつい寄った。
「な、なんでしょうか。」
近いよ、速水さん。
私の心臓がバクバクいってるじゃんか。
「なんで市田帰ってないの?」
からかい口調で彼は攻めてくる。
まるで何て私が言い訳するのか楽しみみたいに。本当意地が悪いや。
あぁ、もうばかだな。
早く起きなかった私、本当ばか。
こうやって帰らなかったこと彼にばれちゃったら、つめよられちゃうことぐらい想像できたはずじゃんか。
「えっと……」
どもってる私に速水さんは色っぽく口元を緩めてる。
これが大人の色気ってやつだ。
水なんか滴らせちゃってさ、ずるいよ。
私はきゅっと唇を噛む。
何かうまい言いわけあったっけ、えっと、私、昨日…あ
「か、鍵が!」
「カギ?」
「……カギの場所。分からなかったから。」
尻すぼみになる私の声。
ばかだな、それじゃ本当の理由はそうじゃないって言ってるようなもんじゃんか。
「ふーん。」
ほら案の定、速水さんまだからかった目で見てきてる。
「み、みそ汁冷めちゃいますよ!」
ほら!と私は速水さんをみそ汁の方へぐいっと押しやる。
「言いわけが下手だね、市田ちゃんは。」
「うるさいですよ、ほら運んでください。」
私は彼の箸と、私が使わせていただくスプーンの準備を始めた。


