「え?え?
だって長嶋さんと同い年ですよね?」
「うん。長嶋も31だよ。」
「あれ…?」
「自分だけ勝手に歳とって、俺たち歳とること忘れてるんじゃないの?」
速水さんはばかだなぁとばかりに、私のおでこにピンと軽くでこぴんを落とした。
「じゃぁ7歳差なんですね…」
「んー、まぁそうなるね。」
7歳か……6歳差だと思ってたのに。
「そんなに気にする?」
「そりゃ…」
だって、釣り合うのかなぁとか、もっと大人の人の方がいんじゃないかなぁとか気になっちゃうじゃん、普通さ。
「仕事うまくいったんだろ?」
唐突に彼は90度話を変えた。
「はい、何とか。」
いろいろ問題だらけでしたけど……、助けられてばっかりだったし。
「手紙、いいよね。俺も小さいころよく書いてた。」
「あ。」
そこまで知ってるんだ。
内川くん…かな、折り紙のことを教えたとしたら。
「こうやって熱出して、見舞ってくれる人がいるのって普通じゃないんだよな。
俺、親父だけで育ったからさ分かるよ、そういうの。
子供たちも親も、絶対喜んでる。」
そう、だったんだ。速水さん片親なんだ。
今でこそ3組に1組って言われてるぐらいだから珍しくないけど、でもだからって子供が寂しい思いしてることに変わりないんだよね。
「頑張ったじゃん、いちた。」
ポンと彼は私の頭を撫でた。
ばか。
そんな幼少期の、さびしかった思い出を話してくれてるのに、励ましてるのがその当人ってどういうことですか。
構わず彼は目元を緩めてる。


