意地悪な片思い


 私は野菜を切り始める。ほうれん草、大根、人参、シイタケ。人参はピーラーでそいだものをざく切りにした。

そうこうしているうちにお水が沸騰したので、中にご飯を入れると野菜も続けて投入する。卵と味噌は冷蔵庫にあったのをお借りした。


「できましたよ。」
 私は速水さんと長嶋さんの分を先についで、テーブルの上に運んだ。

途中で長嶋さんが手伝いに来てくださって、台を拭くようお願いしたからパソコンも片づけられてる。

「お口にあうといんですけど…あ、熱どうでした?」

「37度9分だった。
朝より落ち着ついてるからまぁいいかな。」
 でもまだ結構あるなぁ、熱。
心配で彼の顔色を窺う。

「正露丸必要ないみたいだね。」
 速水さんはマスクを下ろして、くすっと笑った。
……この人本当熱あるの?

「昨日の夜39度だったんだろ?
回復早いな、俺だったらもっとへろへろだぞ。」
 長嶋さんが変人、みたいな目で速水さんを見る。

「市田のは?」
 そんな彼の目を無視して速水さんは体を起こした。

「すぐ持っていきます、お先どうぞ。」
 私は再び台所へ戻る。おいしい、っていう二人の声が途中耳に入ってきて嬉しかった。

よかった、速水さん食べられて。
いっぱい食べて今日はよく寝なくちゃね。


「リンゴとお飲みものです。
速水さんはポカロでいいですか?」
 冷蔵庫で冷やしてた500mlのスポーツ飲料を彼に差し出す。私と長嶋さんはお茶だ。

「リンゴ食べたかった。」
 ぼそっとつぶやく速水さん。

やっぱり弱ってる速水さんはちょっとかわいい。