速水さんの部屋にお邪魔する前。
内川くんと話した後、私は長嶋さんのもとへ向かった。
席に彼はいなかったからお昼でも取ってるのかと思って給湯室へ行ってみると、案の定彼はそこでお弁当を食べていた。
「長嶋さん。」
鞄にしまってきた、一つのファイルを思い出す。
内川くんから預かった、いや、押し切って奪い取ったの方が正しいかもしれない、とにかく内川くんが、長嶋さんを通じて速水さんに渡してもらおうとしてたやつのこと。
「どうした?何かあった?」
「いえ、そうじゃないんですけど…
あの今日速水さんのところ寄られたりします?」
「あぁ、速水が休みだって聞いたの?」
「さっき内川くんから。」
「そっか。」
彼がお茶をごくりと飲む。
「ひどい熱みたいで今連絡来てたんだけど。飯買って来いって言われちゃって。」
あいつ結構風邪ひくんだよ、ハハハと長嶋さんが笑った。
「あの、ついていっちゃだめですか?」
「え?市田が?」
「どうしても渡さないといけないものがありまして!」
目を丸くしてる彼に押し切る声を私はあげる。
「まぁ、いいけど……。
俺が渡してやるんでもいんだぞ?」
「や!これは私が!」
「あ…そう?」
さすがに無理やりすぎたかな?
違和感ありまくりだもんね……
「じゃぁ仕事終わったら帰り声かけるから。」
「はい。」
では失礼します、私はにこりと笑って給湯室の扉を閉める。
作戦成功!
私は小さくガッツポーズを落とした。


