速水さん、びっくりしてるなぁ。
そりゃそうだよね、長嶋さんだけだと思ってたはずだもん。
「市田おいで。」
先に靴を脱いで、部屋にあがった長嶋さんが私に声をかける。虚ろな状態の速水さんを彼は軽く支えていた。
軽く返事して私は靴を脱ぐ。
速水さんの靴1足と、長嶋さんのと私のと必要な分しか置かれていない、整頓された玄関。
速水さんらしい。
2人の後を追い、リビングに入るととてもシンプルな、いかにも男の人の部屋といった内装が私を待ってた。
家具は白と黒がメイン。唯一違うのはこげ茶色の軽い木目模様のデザインの冷蔵庫。あと、テーブルの上に置いてあるワインレッドのパソコンぐらいだ。
って、これ以上見たら失礼だよね。
部屋を見渡すことを早々に終え、長嶋さんが座ってた横に私は座った。
速水さんはさすがにしんどいみたいで、ソファに横たわってる。たたまれて置いてあった薄い布団を膝にかけていた。
「長嶋、そこのマスク取って。引き出し入ってるから。」
「これか?」
長嶋さんはチェストから白いマスクを取り出し彼に渡した。
「で、何で市田?」
マスクのせいで速水さんの瞳しか見えない。
やけに緊張するな。
速水さんの物で囲まれてるせいってのもたぶんあると思うけど。
「えっと」
何て言えばいいかな、
「渡したいものがあったんだよな。」
私の代わりに長嶋さんが答えてくれた。


