意地悪な片思い


―――――……

パチ。
目を覚ますと見慣れた白い天井、違うのは

「まだ目ぇ回ってる。」
 ってこと。

あー、まだしんでぇな。
弱った力を絞って上半身を起こす。

額に手をやるとまだ熱かった。31にもなって、39度の熱出すとか情けない、子供の時以来だぞ。

そう思いながらも体のあちこちの関節、頭が痛くて、再び布団へ横になる。


りんご食べた…。

そのまま目をつむった。
あー横になる前に時間確認するんだった。
今何時?たぶん夜になったとは思うけど。

仕事…大丈夫だったかな。内川が特に心配だな、アイツにもいろいろ任せちまったけど。

寝ようとするとこれだ。
俺の頭をいろんな心配が襲ってくる。

週末まであと1日だったのに、最後の最後で悪化しやがって。まぁ明日と明後日はおとなしくできるからいいけどさ。

市田にばれちゃったかな。
気づかれてない方がいんだけど、なんだかんだで心配してくれそうだし。

アイツ優しいからな。


 重い手を動かし、携帯へ手を伸ばして時間を確認しようとした瞬間、ピンポーンと玄関のチャイムが鳴る。

「長嶋か。」
 俺は手をひっこめてよたよたと体を起こした。ふらふらする足取りで玄関へと向かう。
大した距離じゃないのに、それすら普通にできない今の自分に情けなさが増す。

ガチャリと音を立てて鍵を開けた。

「あけたぞ。」
 ぼそりと告げて長嶋が入ってくるところ見届けず、俺は寝室へと戻ろうとする。

「お邪魔ー。」
 長嶋の声が背から聞こえてきた。

「何か買ってきてくれた?」
 長嶋の買い物だからそんなに期待してないけど。だって、変なもんばっか買いたがるから。「期間限定に弱いんだよ~」っていつも言ってる。

「簡単なごはんと、フルーツとかを。」

「ありがと。」
 長嶋にしては気が利いてる気が…

って

「は!?」
 俺はぐいっと振り返った。
ズキンって頭が痛むことも忘れて。

「……お邪魔します、速水さん。」

 市田!?