意地悪な片思い


「で、子供たちは喜んでもらえたの?」

「はい。とりあえずは…。
雨宮さんが折り紙お上手なのが幸いして。

清水会社の方も器用な方が多くてですね。」
 青色で、綺麗な鶴を折った彼らと比べ、私の鶴は裏地の白が目立つ、なんとも不格好な鶴……

折りなおして!って言われるのも覚悟してたけど、そんな鶴でも喜んでくれたあの娘には、感謝の気持ちしかない。

「まぁとりあえず今週は大丈夫だったってことだな。」

「はい。」
 1週目を振り返った簡易な反省書を彼はパタンと閉じた。

「月曜からは雨が多いけど大丈夫か?
そこんところ雨宮さんと打ち合わせしてるか?」

「これから改めて確認してきます。
清水会社の方とは段取りついているので。」

「じゃぁあと2週間。頑張れ。」
 長嶋さんにはいって返事して、すぐに私は下へと降りた。

「雨宮さんいらっしゃいますか。」
 下のフロアの扉を開けて、ドア近くにいらした女性社員さんに声をかける。「あちらです」とすぐに席に案内してくださった。

「雨宮さんお疲れ様です。」

「あ、市田さん。」
 女性社員さんはでは、といって下がっていく。