デスクに戻ると私は早速必要な資料をもって、下の階の人たちのところへすぐに向かおうとする。
スキップでもしたいぐらいだった。
暖房が効いていない階段フロアのドアを開け、私はすぐに段をおりる。
半階降りて、下のフロアの様子がのぞけるようになったとき私の体はびくっと跳ねた。見覚えのある色の脚がそこにあったから。
私は胸前で交差させてる腕にぎゅっと力を込める。
ドキドキもんだ、だって久しぶりだから。
ここで何してるんだろう。
仕事中…だとは思うけど。
でも、もしちょっとでも話せるなら、電話ありがとうって改めて伝えたいな―――、あ。
その途端、手が緩む。
スーツじゃない。
肌色の脚が、もう一つ見えた。
「お疲れさまです。」
先にその脚の主が私に声をかけた。
相変わらず綺麗な人だな。
ちょっと離れてるってのに、いい匂いがここまで香るよ。
「お疲れ様です。」
私も礼をしながら返す。
彼女のそばにいる、その人の様子をうかがいながら言ったけど
まだ私に気づいていないのかこちらを見ていない。


