意地悪な片思い


 まぁこれはあくまで私の考えに過ぎないけど、そんな貴重なお休みを住宅展示に来ていただくんだ。

一生のことである住宅を考える親御さんにも、よく分からないなって思う、子供さんにも
やっぱりどこか楽しんでもらえる、

住宅購入を考えていない忙しい世帯の人にも、ちょっとしたテーマパークみたいな感じで遊びにきてもらいたい。

私は仕事をしていてそう思った。


「廃材でミニチュア家づくり体験とか面白そうだね。」

「はい、環境のことにもこだわれて植林活動なども行われている会社様なので、そういう面もあるんですって知ってもらえる機会にもなるかなって。

そちらは先方さんが打ち合わせの時に急きょのご要望で、その場で一緒に考えさせていただいたものなので

長嶋さんにはご報告が遅れていたのですが…。」
 ちらりと私は気色をうかがう。

「うん、面白いし喜ばれてるならいいと思う。
じゃぁ一階の奴らの準備にちょくちょく回ってあげて。」

「はい!」
 オッケーがもらえて内心きゃーきゃー騒ぎ、なんだけどなんとか体裁を整えて返事した。

「では戻ります。」
 がんばるぞー!気合いがますます入る。

「あ、市田。」
 踵を既に返していた私は、もう一度長嶋さんの方を振り返った。

「あともう少しだな。がんばれ。」

「はい。」

 長嶋さんの綻んだ笑顔がとってもとっても嬉しい。