「はぁ~」
わざと大きく息をはいた。空中に白いもやが出る。
ぼーっと空を見ながら歩いて、飴玉のお返しなんもしてないや…
そう不思議と、彼のことが浮かんだ。
お正月休みを挟んじゃうから1週間近く顔見れないってのに、お疲れ様ですも昨日いわずに帰宅したよ。
「あーあ。」
また静かな道に、私の声が響く。
なんか、無性に。
「……たい。」
寒風が音を立て私の言葉を消す。
「さむっ。」
と反射的に身を縮こめた。
買い物袋を持っている左手は常に露出しているため、キンキンに冷たい。コートにいれている右手はそれに比べてマシな方だ。
だけどそれも構わずに、右手もこの寒空の中に私はさらした。
鞄にいれていた携帯を取り出したくて。
まだ、彼に連絡する言いわけを考えていないのに。
私はその人の連絡画面を開こうとする。
が、
「充電……。」
丸一日放っておいたそれは、気づかぬうちにエネルギーがなくなっていたようだ。
何度画面を開こうとしても依然として真っ暗なままで、うんともすんとも言ってくれない。
「連絡するな…ってことなのかな。」
苦笑しながら私は携帯を鞄にしまう。
降る雪がほのかに積もろうとしていた。


