意地悪な片思い


 次の日、鞄から資料を引っ張りだすと、特に使っていなかったノートを適当に持ち出し、パソコンを開いて私は軽く情報を集め始める。

特別に会社から持ち帰らせていただいた資料室のファイルも傍にある。
似たような企画を、長嶋さんがされていた時のものがそこに挿まれていた。

って会場、私の方が大きいし……。
長嶋さんが企画した、住宅展示場が行われた場所を確認して、早々に一消沈。

行われた期間は3週間と私よりも長いが、それでもやはり大きい会場の方が集客が見込めるものだ。


 とりあえず仕事をするかしないかは置いておいて、頼りになりそうな情報を集め、メモをノートに落としパソコンの画面を何度も切り替える。

その際、画面が真っ暗になる度に自分の苦い顔を私は何度も見た。

長嶋さん、すごいな。
いっつもこんな責任一人で負ってるんだもん。よくそんな人を憧れてたもんだよ、100年早いっつの私…。

ぐちゃぐちゃぐちゃーっと、ノートの端っこにペンで台風を作る。


 お昼を回ったのと頭がいっぱいになったこともあって、私は一旦それら仕事類をしまうことにした。

「よっこいしょ」とつぶやきながら、脱ぎっぱなしだったコートをようやく片す。床に若干水滴の跡がついていたから、それも丁寧にふき取った。

靴は夕方晩御飯を買いに行かなくちゃなので、とりあえずはそのままにしておく。


「あー、やっぱり今行こ。」
 気分を入れ替えたかった私は、予定を切り上げて買い物に行くことにした。

すっぴんにマスク、しまったばかりのコートを羽織って、まだ昨日帰ってきたまんまのカバンを持って。