意地悪な片思い


 また20分ほど経ってピコンと携帯が鳴る。
今度は本を読みながら時間をつぶしてたから、手にしていた本を手放さずにじと目でそれを確認する。

『あーあ。避けるの禁止って帰り際言ったのに、早速避けてんじゃん笑』

「ち、ちがっ!」
 思わず声に出てしまった言葉を画面にも打ち込んで

『ちょっといろいろすることがあったんですよ!』
 時間をおいて返事することも忘れ、速水さんから届いた連絡の、3分後の時刻が私の文の横に出現。

『ふーん』

『信じてくださいよ!』

『じゃぁ何してたの?』
 パッと次に送られてきた画面を見て、ぶって私は噴き出した。

そりゃ、何もしてないけど……。
図星を突かれて渋る私。


『…いろいろですよ?』
 変に時間を置いてしまうととますます怪しい。すっかりテンポアップしたやり取りを途絶えることなくすぐに送った。

『…何もしてなかったんだね。』
 そうあっさり彼に的を射られてしまったけど。

頬を膨らませながら、次に何て送ろうか迷う。

携帯つつく気分じゃなかっただけですよ!とか避けてた訳じゃないんですよ、本当に!とか、そこらへんが適当だろうか。

1分ほど経って。
悩む私の前にまた新たな連絡が表示される。


『でも元気ならよかったよ。
本当に二日酔いで、気持ち悪い思いしてたならやだったから。』

「……」
 あー、もう。
また優しいことをこの人は…。

私の口がタコのようにとがった。
だけど私の眼は緩やかなカーブを描いてる。

部屋に一人でよかった、今の私は変な表情をしているに違いないもの。
不満なようで、でもにやついてる、みたいな。


『今度は市田が運転で、俺が助手席な。』
したり顔をしたスタンプが、また続けて送られてきた文字のあとに続いて。

我慢できずに今度はふふって笑い声をあげながら

『事故ってもしりませんよ。』
 彼が付けたしたり顔スタンプを、送ったメッセージの後に私は同じようにまた付けた。