意地悪な片思い


 だめだ、思い出せない…。
昨日から考えているのに、頭を何度捻ってもサンドイッチの値段が一向に浮かばない。

それもそのはず、おいしいそれが売られているパン屋に私は半年ほどもう行ってないんだ。思い出すをことをあきらめた私は、今日のお昼メニューである目の前のおにぎりにかじりつく。

デスクの上には携帯を開いていて、もしかしたら返事が来ているかもと速水さんのトーク画面を確認中。

だが無情にも一番下には、今だ言いっぱなしになっている私の言葉が載っていた。

『ふたり?』
その4文字の言葉が。

はやく答えを教えてほしい。
変に緊張してしまってるから。

15分ほどして昨夜送り返したのが悪かった、彼はまだ確認してすらいないのかもしれない。


と、ふいに

「市田さん。」
 珍しく隣の席に座っている品川さんが声をかけてきた。

慌てて私は携帯の画面を閉じて返事する。

「今お昼ですよね?」

「はい。おにぎりいただいてます。」

「もしよかったら、これ食べませんか?
私ちょっとお昼今日持ってきすぎちゃって。」
 彼女は市販のカレーパンを私に差し出した。

「いいんですか?」

「それ消費期限今日までで、私お弁当もあるんです。食べてもらえると嬉しいです。」
 にこりと微笑む彼女。

お腹に余裕がある私は

「おいしくいただきますね。」とお礼をして
おにぎりを食べ終わった後に、品川さんからのパンもありがたく頂戴した。

その間も携帯をつついていたけれど、
結局お昼に返事はなかった。