意地悪な片思い


 速水さんはすぐに返事をよこすタイプじゃないので、待っている間に歯磨きを終わらせると、

『手渡しがよかったなー、』
『あほあほあほ』
 と先ほどに引き続いて2件。

『なんでですか?』
『でもお金足りてないでしょう?』

今度は間髪入れずに
『なんでだと思う?』
『足りてるよ、おつりが出るぐらい。』
 と返信が来た。


携帯を挟んでいても速水さんだなと思いながら、彼から来た2言目で、また嘘っぱちいってるってすぐに思う。

『画面の中でも意地悪してこないでください。』
『絶対嘘ですよ!足りませんって。』

『ばれた?』
『嘘はつきませーん。』

『大バレですよ!』
『また嘘ついて!』

何通か交わし、23時ぱったりに速水さんの連絡が来なくなる。

寝ちゃったのかな、と思っていると23時30分。

『お釣りの分、今度飲みで返す。』

 一瞬意味が分からずに
1拍2拍おいて、私の頬がぼっと火照り始める。


 照れくささやら何かやらで、もう今日は返事が返せないと思った私は、狸寝入りを始める。

目をつむる、1秒、2秒、3秒…あーだめだ!
眠いのねの字もでてこないぐらい寝れる気がしない。

飲みって2人?それともみんなで?
お釣りの分飲みって、お釣は一体何円?

そうやってぐるぐる考え事が絶えず寝る邪魔をしてきてんだ。

気になる気持ちの方が勝った私は、携帯を再度手に取って彼に人数を尋ねる連絡をついに送る。

23時47分と時間が小さく文字横に表示された。
気づかぬうちに日付がまたがろうとしているようだ。

結局のところせっかく早く帰れたのに、
眠りにつけた時間は普段よりも遅かった。