「俺と付き合わない?」 私よりも後に給湯室に入ってきた彼。 「俺もコーヒーいただいていいですか?」 そう先ほど声をかけてきた時と全く同じ口調のそれに、 私の目はパチパチと動かされた。 漂うコーヒーの香り。 給湯室には私と彼以外、誰もいない。 何も言えないまま、 とりあえず手に持っていた紙コップを元の場所に戻す。 「……え?」 やっと声が出たとき、 彼は私が作ったコーヒーを飲んだ。 コーヒーとは違う、別の苦い香りがした。