お墓の右側には亡くなった人の名前がフルネームで掘られている。

”朝日”という名前の隣には、朝日のお母さんの名前が彫られていた。

「妻は1人息子である朝日の死を受け入れられずに、精神的に追いつめられ、身体が弱っていった。そして…あとを追うように死んでしまった。もっと私が支えてあげられていたらと、とても後悔した」

お母さんが亡くなったのは、朝日が居なくなってから半年後のことだった。
お父さんから電話を受けた私は、突然の訃報で驚きを隠せなかった。

「だから君には、妻の二の舞になってほしくないんだ」

自分の息子を忘れてほしいだなんて、本気で思っているはずがない。
その言葉は私のためを思ってのことで、私に幸せになってもらいたいというお父さんの強い思いが込められていた。

私は何も言えず、その場に立ちつくしたまま動けなかった。