彼がゆっくりと距離を詰めてきて
思わず私は後ずさりをした。
しかし
細い路地とあって
一歩、二歩であっという間に壁際まで追いやられてしまった。
なにこの状況・・・?
すごく顔が近い
ものすごく恥ずかしい
でも、なぜか彼の視線から逸らすことができない
あれ?
どっかで見たことある・・・
長身で
サラサラな黒髪
綺麗で涼しげな目
右目の下にある泣きボクロ
筋が通った鼻
ほどよく赤みがかかった唇
すべてが整った彼・・・
「あの!あなたは・・・!」
そっと彼の手が腰に回って抱き寄せられた
「しっ!
おとなしく黙ってろ・・・」
低い声で私の耳元で囁く
その声が私の耳をくすぐる。
腰に手を回された手にチカラが込められる
え?
なにこの展開・・・
不覚にもこの状況で心臓がドキドキしてる。
私、どうかしてる・・・。
「なにこの状況で興奮してんの?
見た目よりスケベなんだな、お前」
