「会社に間に合わない・・・!」
「あぁ、それなら・・・」
コンコン
一人で慌てているとノックが聞こえてきた。
「颯真さん
いつまでお休みになられているんですか?」
扉の外から樹さんの声が聞こえる。
彼は樹さんの声を無視して
横になってタブレットをタップしながらニュースをチェックしている。
「また引きこもる気ですか
入りますよ」
ガチャリ
ドアが開いて
樹さんが部屋に入ってきた。
私は慌てて樹さんに詰め寄った。
「あっ!樹さん
あのもう会社に間に合わないですが!」
「千夏様は本日付でシナダグループのオーナーの婚約者でございます」
シナダグループってあの・・・
あの日本有数の大企業のシナダグループ!?
しかも
婚約者・・・!?
「婚約者として
こちらで暮らしていただきます」
婚約者として
ここで暮らす・・・?
「えええええっ!?」
すごく爽やかな顔で
サラッとすごいことを・・・
頭が固まって全然動かない。
一体、どういうことなのか・・・
私は唖然と樹さんを見上げることしかできなかった。
