「この状況がわかって挑発してんのか!
このクソガキ!!逃げ切れるわけねぇんだよ!」
「へぇ?
この隠し扉にも気づかねぇのに?
これ以上バカと話す理由はねぇ
せいぜい頑張って捕まえに来いよ」
ニヤッと不敵に笑うと扉を閉めた。
ドンドンドン!!
「クソッ!あのガキ!
最初から外から開けられねぇようになってやがる!」
外から男たちの声がする
ドンドンと男たちが叩く音が室内に響く
「あの!これは!」
「噛みつき女
お前は黙って俺にしがみついとけ」
嚙みつき女って!
まだ根に持ってる。
あれは不可抗力です!!と言いたかったけど
一人では逃げ切れないと思い心の中にしまった。
腰が抜けて動けない私を彼はそっと私を抱き起し私の腕を彼の肩に回された。
華奢な見た目と裏腹に
がっしりとした腕で支えられる。
「樹、作戦通りだ」
彼はインカムからまた誰かに指示した。
真正面にある扉に向かっていく
え?
普通に真正面から出るの?
このまま出たら男たちがこっちに回って来てるかもしれない。
危険すぎる。
今度こそ捕まってしまう。
「このまま出たらあの男たちがこっちに!」
