偽王子と嘘少女



「園川…!?」


「えっ?」


もしかして私、声に出ていた!?


「違う、違う! これは、何でもなくて…」


慌てて弁解するが、きっと藤堂くんは気づいている。


「そういえば、昨日カフェで園川といるところを見かけた気がするけど…そういうことだったのか」


ニヤリと笑って、私の目をとらえる。


何かされたわけではないのに、私の体はもう動けなくなっていた。


目に、心に、強く支配されている。


「じゃ、じゃあ…そういうことだから」


掃除用具入れにほうきをしまい、もう帰ろうとしたその一瞬。


バン、と大きな音が響き渡り、気付けば私は壁に追い詰められていた。