偽王子と嘘少女



「ありがとう、かぐや! この埋め合わせは、また今度絶対するから! 本当ごめん!」


荷物を持って、再び奥と入っていった。


まあしょうがないよね、こんなこともよくあるよ。


自分に言い聞かせ、レジ打ちに出てきた希子にエールを送る。


だけど、取り残されたのは私だけではない。


目の前に、少し不機嫌な園川さんがいた。


「希子ってば、優しすぎるんだから! あんなの、断っちゃえばいいのに」


「はは、そうだね」


私は、苦く笑って答えた。


きっと、私の立場でも同じようにすると思う。


私も、希子も、優しすぎるんじゃない。


頼まれたら断れないだけ。


あの日の合コンだって、そうだったように。