偽王子と嘘少女



「希子にかぐやじゃん! 何してんのー、こんなところで」


あまり話したことがないのにいきなり下の名前呼び捨てとか、勇気があるな、と尊敬する。


「こんなところって…一緒に話してたの。藤堂くんの話」


「へえ。良かったら混ぜてよ! 私、友達にドタキャンされちゃってさぁ、暇なんだよね」


希子が、『どうする?』とでも言うように、目線を送ってきた。


「私は、別にいいけど…」


「ありがとー! かぐや、希子!」


嬉しそうに微笑み、希子の隣に座った。


目の前にいるだけで、不思議と緊張してしまう。


それだけ、私にとっては偉大なる存在だということ。