「もう自分を偽るのは、やめたんです。本当は地味で根暗で、皆が知っている俺とは、正反対と言っていいくらい違う。だから、こんな自分を変えたくて、今まで違う自分を演じてた…」
初めて知る、藤堂くんの本音。
切なくて、どこか悲しげな様子は、私と同じなのかもしれない。
「でも、こんな俺にも話しかけてくれる暖かい皆の笑顔が、すごく苦しくて、辛くて…もう止めにしようと思ったんだ」
「…藤堂くん」
園川さんがつぶやく。
彼女の目は、もうさっきのように怒りに満ちてはいなかった。
「今まで、こんな俺と仲良くしてくれて本当にありがとう。結果的に皆を傷つけることになってしまって、本当にすみませんでした」
言い終わると同時に、深々と頭を下げる藤堂くん。
まさかそこまで考えていたなんて。
彼の言葉に乗っただけの中途半端な私は、なんだか複雑な気持ちになり、その光景をただ見ていることしか出来なかった。


