偽王子と嘘少女



「あるよ! 悪いことばかりだよ! ってか、なんで!? 藤堂くんが来るって聞いていたら、絶対来なかったのに…」


「そういえば、私も聞いてないかも。一応名前だけ聞いてたんだけど、全員紫水くんの学校の人たちだったんだよねー。まあ、ほとんど知らない人だけどさ」


藤堂くんと言い合っていたら、希子が同意してくれた。


希子も知らないっていうことは、もしかして…


「あ! 藤堂くんだったんだ、代理の子って。悪いねー、急に。さ、こっちだから」


後ろにいた主催者の子の友だちが、手招きをする。


信じたくない…紫水くんの代わりが藤堂くんだろうなんて。


紫水くんのいない合コンなんて、もう帰りたい気持ちでいっぱいだった。