偽王子と嘘少女



「あ、来た。おーいっ!」


遠くから見える4人くらいの男子に大きく手を振る主催者の子。


だけど、そこに紫水くんの姿はなかった。


がっかりしている暇もなく、知らない男子に紛れた見覚えのあるやつにげんなりする。


「なんで、あいつが…?」


関わりたくないと思っていたのに…。


希子に尋ねると、返ってきたのは疑問。


「あいつって誰? 目が悪くて、よく見えないんだけど」


「だーかーらぁ! あいつだってば! 藤堂 忍!」


「何、俺が居たら悪いことでもあるの?」


はっ…!


希子に説明するのに夢中で、周りが見えてなかった。


気づけばすぐ後ろに、例の彼がいたなんて。