偽王子と嘘少女



紫水 橙里(shisui to-ri)くん。


それすなわち、中学生のころの同級生であり、私の好きな人。


まだ地味だった私にたくさん話しかけてくれて、希望をくれた。


なんて優しい人なんだろうって、本当に素敵に思って、3年間ずっと目で追っていた。


別高校となった今では、もはや私のなかで神の存在。


駅とか通学路とかで、彼に会えたら、その日はラッキー。


何の根拠もない勝手なジンクスだけど、それが私の心の支えになっているから。


そんな紫水くんが、目の前に現れてくれるなんて、本当に夢じゃないかと思う。


楽しみと同時に、緊張感がどこまでも高まってゆくのだった。