偽王子と嘘少女



「希子のこと信じたい。だから、全部私に教えて欲しい」


「……は、……が………なの」


「えっ?」


希子が何かを口にした。


だけど、小さくて聞こえない。


もう一度耳をすましてみると、衝撃的な言葉を放ったのだった。


「私は橙里が好きなの!」


「………えっ」


驚いている暇もなく、希子は逃げるように走って行く。


『橙里』…それは、紫水くんの下の名前。


なんで?


いつもは、希子も『紫水くん』って呼んでいたのに。