偽王子と嘘少女



でもだからこそ、その疑いを晴らすため、聞いてみなければならないのかもしれない。


「私のスマートフォンに入っている紫水くんの連絡先…あれは、藤堂くんにもらったの」


「うん、知ってるよ。朝言ってたじゃん」


「そう、なんだけど、…藤堂くんに聞いたら、希子が教えてくれたって言ってた」


「えっ…」


希子の表情が、一瞬にして曇る。


「どういうこと? もしかして、ずっと前から紫水くんのアドレス知ってたの? だったらどうして、教えてくれなかったの?」


「それは…」


「応援してくれるんじゃなかったの? 希子が、かぐやなら出来るって言ってくれたから、頑張れてるんだよ」


「応援はしてるよ。でも…」


言葉がつまり、それ以降は何も言わなくなってしまった。