偽王子と嘘少女



中ももちろん人だらけ。


前を向いても人。


横にも人。


後にも人。


「…もう帰りたくなってきた」


「えっ!? ちょっ…かぐや!?」


希子は心配してくれているようだけど、こんな人ばかりに囲まれて、憂鬱にならないっていうほうがすごい。


「こんな感じで、本当に紫水くんに会えるのかなぁ…」


「大丈夫だよ! ほら、生徒の人たちはクラスTシャツ着てるじゃん? だから、目立ちやすいと思うよ!」


確かに、胸元に大きくクラス名が書かれた、色とりどりのTシャツを着ている人がいる。


その人たちがこの学校の生徒なんだということは、分かった。