偽王子と嘘少女



そしてとうとう文化祭当日。


待ち遠しかったこの数日間も、早いものでついに今日。


やっと、紫水くんに会える…!


それが楽しみで楽しみで。


…楽しみだったんだけど。


「うわぁ、広いねー」


大きな校舎を見上げて、嫌そうにため息をついた。


人混みもかなりすごくて、本当にこの中から紫水くんを探し出せるか、不安でたまらない。

こんなことなら、連絡先でも聞いておけば良かった。


大きな後悔と共に、私もため息をついて校舎内へと入る。