偽王子と嘘少女



印象に残っているのは、別れ際だけだけど。


「へえ、紫水くんに会えたんだ」


「…あまり話せなかったけどね」


「でもさ、嫉妬してたんじゃない?」


「嫉妬…?」


考えもしなかったことを言われて、なんだか動揺してしまう。


「そうだよ。かぐやが自分以外の男と話しているのを見て、いてもたってもいられなくなったとか!」


「なにそれ」


冗談を言っているようにしか聞こえず、笑い飛ばす私。