「俺? 俺は、ほしい本があってさ」 そう言って見せてくれたのは、分厚い参考書。 「やっぱり、高校の勉強って難しいね」 苦く笑う紫水くんでさえ、胸がときめいてしまう私は、きっとかなりの重症に違いない。 忍side 「ありがとうございましたー!」 明るい店員さんにラッピングされた袋をもらい、店から出る。 柊を探すために、歩き始めて数分間。 もちろん、見つかるはずもない。