偽王子と嘘少女



その真っ赤な表情が、本音を語っていることに気付いてないのかな。


でも、時々気が抜くとシャイになってしまうところがまた可愛いと思う。


さっきの出来事の怒りさえ、忘れてしまうんだ。


「ありがと、可愛いって言ってくれて」


「は…!? えっ? いや…そんな、こと…言ったかな」


「言ってたよ。それじゃあ、行こうか」


「えっ…あ、ああ」


とは言ってみたものの、私は彼が行きたい場所なんて知らない。


何か買いたいものでもあるのかな。


「ねえ、どっか行きたいとこ…」


そう言いかけたとき、藤堂くんのほう振り向いて気づいた。