まあ、咲良の話を要約すると……。


うちの学校の保健室(の横にある相談室)にいつもいる男子生徒、神楽坂遊(かぐらざかゆう)という人が超イケメンらしく、一度でいいから会ってみたい。


とのこと。

「会いに行けばいいじゃん」

その話を聞いた私の感想。

「それができたら苦労してないって!」

ムキになったように言う咲良。

そういうもんか。

「てか、なんで相談室に居るのよ。いつも生徒指導受けてんの?」

「んー。これも聞いた話なんだけど、いっつも寝てんだって。王子は」

「は?」

寝てる?

何それずるくない?

「うちの学校、テストの点さえ取っとけば何も言われないしねー」

「え?神楽坂って頭いいの?」

「知らないの?王子って、授業出てないのに常に学年1位だよ?」

マジすか。

「頭良くてイケメンで。運動もできるってさ」

そんな男、この世にいるんだ……。

「だから、みんな一目見ようと必死なんだよー」

ふーん。

って……?

「一目見ようと……必死……?」

「うん」

「見たことないの?」

「うん」

「……誰も?」

「うん」

はぁ?

見たことないもない人を探し出して、顔を拝んでやろうってこと?

え、意味わからぬ。

「ま、美優は興味ないか」

いたずらっ子のように笑う咲良。

確かに興味はないけど……。

「なんで顔見たことないのに、イケメンってわかるの?」

「女子の希望」

私の質問に即答する咲良。

希望……ねぇ。

「そりゃー、見たことないやつだけどさ。それだけすごい噂が立ってれば、やっぱイケメンだろうっていう女子の希望だよー」

「ふーん……」

そういうもん……なのかなぁ?


キーンコーンカーンコーン……


ひとりで納得していると、チャイムがなる。

「席につきなさーい」

先生の言葉に、みんな席に着く。

なんともない、いつも通りの朝。