ドSな彼は妖


(え………久利、さん、なんで………)

確かに紀香は右手首に大きな怪我をしている。

───だが、それは。

「わたし」にしか見えない、はず───。

(あ………そっか)


そっちの可能性も、あるんじゃん。


「久利さん!」

「え、なに!?どうしたの!?」

わたしのいきなりの大声にびっくりしたのか、雷生は後ろに飛び退いた。

「ちょっと……ためさせて貰います!」

───そう言い、わたしは深く息を吸った。