〈茜と里緒菜が先に行った後の凌平と夏目の会話〉

「悪い、煌太!」

俺に両手を合わせて謝っている凌平。

「気にすんなよ、凌平」

笑って凌平に返す俺。

「里緒菜がさ、やっぱり茜のことになると鋭くて…。この待ち合わせについても何かあるって気づいたらしい」

頬を掻きながら俺に説明する凌平に

「ただ、少しでも柊と話ができればと思っただけなんだけど……瀬野は厳しいな(笑)」

「笑い事じゃないって、煌太!キッカケになればと思って待ち合わせを提案したのに…失敗じゃん……」

シュンと肩を落とす凌平に俺は笑って

「いや、少しずつ近づけてると思う。ありがとな、凌平。
追いかけようぜ、二人を」

そう言って歩き出した俺に「だなっ!」と落ち込んでいたのが嘘のように無邪気に駆け出した。

「ーー理由はどうであれ、少しだけど柊と二人で手を繋いで歩けた。それだけで十分だ。まだまだこれからだしな」

グッと柊と繋いだ自分の右手を握りしめた。