「でも俺、手伝うよ?」

夏目はなおも言ってきたが私は聞こえないフリをする。そのまま作業をしていると

「ーーわかったよ。今日は帰るから、これ頼むな?」
「判ればよろしい!ちゃんと渡しとくから」

振り返って夏目から用紙を受け取る。
少しぐらい可愛いげのある姿、見せたいかも……。

今できる引きつっていないことを祈りつつ、

「じゃあ…また明日ね、夏目」

そう私は笑って挨拶をした。驚いたように夏目は、

「……っ!あぁ、また明日!!」

顔がまた紅くなっているみたいだったけど、笑い返して保健室を出ていった。



一歩前に進めて良かったと満足しつつ整理を終えて先生が帰ってくるのを待つ。

ガラッと扉が開いたので見れば結城先生が入ってきた。

「先生、遅いです。これ用紙です」

私が手渡すとサッと用紙に目を通して棚を確認する先生。

「おお、全部おわったみたいだな!助かったよ」

そう笑って頭をポンポンと叩かれた。少し恥ずかしくなって、照れを隠すように

「じゃあ、私はこれで帰りますから」

さっさと扉へ向かいながら挨拶する。

「照れて可愛い奴だな♪また整理を頼むな!」

私の愛想のない態度に大人な対応で返されて、ドキドキと胸が騒がしくなって戸惑ってしまう。

「失礼しました。先生、さよーなら!」

それだけ言うと私は走って教室まで荷物を取りに行った。

「クスッ。可愛い奴だな、ホントに…」