それはきっと恋じゃない




「いくよ〜」


ふたりが
ずい、とカメラに顔を寄せて、可愛らしい顔を作る。


もちろんわたしはそんなことが出来ないから、
左右にうつる2人の間の奥で、

ぎこちなく笑って見せた。



ぱしゃり、と
時の止まる音がする。

スマホにうつった美麗ちゃんとほのみちゃんは
やっぱり可愛くて、

わたしだけがどこか浮いているように見えた。



「あははっ、美麗ちょうブサイクだし〜

ほのみ、ちゃんと可愛く撮ってよ〜」


「ごめんごめーん、けど美麗はちゃんと可愛いよ」


「照れる〜。ていうかほのみのほうが可愛いから!」



可愛いってすごいなあ。

ふたりはすごくキラキラ輝いてて。


私の知らない世界を
ふたりはきっと 沢山知ってる。



言い合う2人を横目に、
わたしは残りのおかずを口にいれた。