素直の向こうがわ



何やら私の発言がこの男の逆鱗に触れたみたいだ。


「アンタの友達2人が別々に集合場所に現れて、いるはずのアンタがいないって騒ぎ出した。いくら電話をしても繋がらない。それでアンタを探しに来たに決まってんだろ?」


ああ、なるほど。少し考えれば分かることだった。
結局、私は既にこの男に迷惑をかけていた。


「だいたい、俺たちと別行動しただけでは飽き足らず、アンタたちまで別々に行動するってなんなんだ? 理解に苦しむよ」


眼鏡男にまたも大きな溜息を吐かれる。
でも、「この男、こんなに喋るんだ」なんて、私は関係ないことを思ったりしていた。


「それはそれは、すみませんでし――」


ふてぶてしく謝ろうとしたとき、また頭上近くで轟音が空を引き裂いた。


「きゃあっ!」


国道横の歩道の真ん中で、その場ですぐに頭を抱えてしゃがみ込んだ。