雷の生々しいほどの大きな音に、すぐ近くに落ちているのではないかと不安になる。
駐車場にはほとんど車は留まっておらず、ぽつんとある電話ボックスと一緒にここに取り残されたような気分になった。
遠くでごろごろとする音を聞くと、これで雷が終わったわけではないことが分かる。
たまらなく、不安になる。
真里菜か薫に電話してみよう。
彼といるところに申し訳ないとは思ったけれど、傘もない今となってはここに迎えに来てもらうしかなかった。
ガラスに打ち付ける雨が止む気配はない。
リュックからスマホを出すと、どこを押しても触れても、画面は真っ黒のままだった。
「え……? まさか、充電切れ?」
遠くから忍び寄る雷の気配に意識向けないために、わざと声に出す。
そして、昨晩のことを思い出した。
真里菜と長電話をした後、あまりに眠くて充電器にささないままそのまま寝てしまった。
「もうっ!」
誰への怒りなのか、声を荒げた。そしてその声は叩きつける雨音に虚しく消えて行く。



