素直の向こうがわ



それから店を出て、島へと向かった。

海沿いの道に出ると、一面に広がった海とともに一気に潮の香りが増す。
空模様が曇りでも、十分海に来たってことを実感させてくれた。

女2人でも十分楽しくて。

今頃あの眼鏡男を含めた3人の男子が真面目に寺なんかを回っているのかと思うと、心底一緒に行動しなくて良かったと思う。

橋を通って島へ渡る。そこでは、ソフトクリームを買ったりしながら海を眺めた。

集合時間から逆算して、「もう少ししたら戻らなきゃね」なんて話していた時、私たちを呼び止める声がした。


「待てよ」


その声に振り向くと、その声が呼び止めているのが『私たち』ではなく薫だということに気が付いた。

そこに立っていたのは、薫の元カレだったからだ。