素直の向こうがわ




「フミ、やったじゃん!」


久しぶりに真里菜と薫と三人で会った。
真里菜も薫も既にそれぞれどこかしらの大学には合格していた。
一緒に遊んでばかりいたけど、夏からスパートをかけた甲斐があったというものだ。


「うん。今年はダメかもって思ってたんだけどね……」


それでも私の場合は、途中で進路変更もしたから浪人も覚悟していた。


「フミの秋からの頑張りは凄かったもん。もともとは優秀だったんだし、それに――」


薫が表情を真剣なものにして私を見つめる。


「河野のおかげで頑張れたんでしょ? たとえ一緒にいなくても」


私の心にはずっと河野がいた。
河野のくれたものがたくさん心の中にあった。


「ねえ、フミ。河野に一言何か言ってあげてもいいんじゃない? フミが合格したって聞いたら喜ぶと思うよ」

「そうだよ。それと、河野、やっぱり国立の医学部一本だって。そろそろ国立の試験日だよね。励ましがてらメールでもなんでもいいから教えてあげれば?」


真里菜と薫の言葉に、素直に頷くことが出来ない。


「うん……。今は、いいや。河野の受験が終わったら」


とにかく今は医学部受験に集中してほしい。
今頃きっと、河野は必死で頑張ってる。