窓際に立つ河野との間には微妙な距離がある。
俯いていた顔を静かに上げ、河野が私の方を見た。
「いろいろ、悪かった」
その目に哀しさが滲んでいるようで、私は慌てて言葉を放つ。
「河野が謝ることないし。私が馬鹿だったから。最初から私みたいなのが河野に近づいちゃったのがダメだった。こんな風に外見を変えたって全然意味ないよね、過去まで変えちゃうことは出来ないんだから――」
「もう、そんなこと言う必要ないから」
わざと軽い口調で言った私の言葉を河野が遮った。
「そんな風に自分を悪者にしなくていいよ。全部わかってる。おまえが過去の自分を悔いてたのも、俺に引け目を感じてたことも」
河野が辛そうに言葉を紡ぐ。
それを見ていられなくて私は俯いた。
「あいつを殴ったりしたら、おまえがそうやって罪悪感で苦しむことになるって分かってたのに、自分を抑えられなかった。だから、全部俺のせいなんだ」
「それは違うよ! 河野は私のために――」
「殴ったのはおまえのためだけじゃない。俺自身が悔しかったからだよ。ただの嫉妬」
顔を歪めて笑う河野に苦しいほどに胸が痛む。
「それなのに、この前は一方的に俺の気持ち押し付けて悪かった。おまえが俺といると苦しいの分かってたのに」
張り詰めた空気が私に何かを予感させる。
河野がそっと息を吐いたのが分かって、身構える。
「……俺たち、また、ただのクラスメイトに戻ろう」
私が望んだように、河野から言ってくれた。
それなのに、こんなにも胸が苦しくてたまらない。



