素直の向こうがわ



路面電車は海沿いを走り目的の駅に着いた。

平日の午前中でも、観光客らしき人たちが多く目に入る。
その中に、私たちと同じ制服を着た集団も見かけた。

朝からどんよりとした空は、まったく好転する気配を見せない。むしろ、悪くなっている気さえする。

せっかくの海が広がる光景も、その魅力が半減している。


「もうお昼時だよね。どっか入ろうか」

「何食べる?」


駅から島へと向かう道中にかわいらしいカフェを見つけた。そこに薫と二人で入り、窓際の席に着いた。年季の入った木の床と観葉植物に溢れた店内に癒される。