「推薦入試受けるはずだったんだって? それが停学のせいで取り消しになったんだって? どうしてそんな大事なこと言わないの? どうして何も言わないのよ!」
私は睨み付けるように河野を見上げた。
眼鏡の奥の目が一瞬揺れた。
「それは、別に隠してたんじゃない。推薦なくなったからって医学部が受けられなくなったわけじゃない。一般受験で合格すればいいだけの話だ。推薦って言ったって最初から受験機会を増やすためくらいのつもりだったんだ。おまえが気にするほど大したことじゃない」
「何が大したことないの? 停学だよ。自分で言ってたくせに。医学部はいくら勉強しても安心できないって。そんな大事な機会を逃したんでしょう。それなのに私に何も言わないで、それで私を気遣ってるつもりなの?」
言いたくない言葉が次々と出て来る自分を止められなくて、河野を責めている自分が許せなくて腹立たしい。
もうこんな会話終わらせたくて、心の奥底にあってずっと見ないでいたことを言い放っていた。



