「そんなんで俺を避けてることバレてないとでも思ってんの?」
河野の低い声が胸に響く。
「それともわざと?」
腕を強く掴まれて、逃げようにも逃げられない。
「別に避けてなんか。こんなとこで待ってたら風邪ひくよ。そんな時間あるなら勉強しなって――」
「誰のせいだと思ってんだ?」
それでも誤魔化し続けようとした私に、河野が怒りをあらわにした。
「……離して」
真っ直ぐに視線を向けられて、腕を強く掴まれた。
掴まれた腕が痛くて私は振り払おうとした。
こんな河野に向き合えるだけの力は今の私にはない。
「こっちに来い」
振り払おうとした腕を更に強く掴まれて河野に引っ張られる。
「ちょと、やめて。どこに行くの!」
私の腕を掴む河野の背中からは怒りが滲み出ていた。
激しくなる胸の鼓動で息苦しくなる。
「河野!」
校舎裏に無理やり連れて来られて、河野は乱暴に私から腕を離した。
そして校舎の壁に私を追いやり至近距離で見下ろしてくるその目は、見たことがないほどに怒っていた。
「何も言わないで避けるとか、何考えてんの? 勝手におかしなこと考えてるんじゃないのか?」
こんなにも感情的な河野を見たことがなくて私は怯みそうになる。
鋭い目で射抜くように見つめられ、身動きが取れない。
その目の中には河野のいろんな気持ちが混在しているようで、私の心も激しく揺さぶられた。
「何か言いたいことがあるならはっきり言えよ!」
「それは、こっちの台詞だよ!」
とうに限界に達していた、ギリギリの感情が暴れ出した。



