素直の向こうがわ




走りながらもまた涙が溢れて来る。

河野が私の傍にいてくれるようになって、馬鹿な私をいつも見守ってくれてて。
いろんなことを気付かせてくれて、いろんなものを私にくれて。
寂しかった私からその寂しさを取り除いてくれて。


それなのに私は――。


泣きながら学校の校門までたどり着くと、そこには真里菜と薫が心配そうに立っていた。


「フミ! どこ行ってたのよ。心配したんだよ」


そんな二人を見たら私の涙腺は決壊した。
耐えきれない感情が溢れ出した。
二人の元に倒れ込むように抱き付いた。


「フミっ」


薫と真里菜が私の背中を抱きかかえる。


「どうしたの?」


その優しい声で、心の中の想いが次々と零れ出した。

河野の優しい目を思い出す。

優しく大事そうに私の頬に触れてくれた。

それが悲しくて切なくて胸が痛かった。

河野のことが好きで。
初めて本当に好きになった人で。
手がちょっと触れたくらいで、視線が少し交わっただけで苦しくなるくらいドキドキしちゃって。

河野を好きになって初めて自分のして来たことを後悔するなんて、私はどれだけ馬鹿なんだろう。


好きでもなんでもなかったのに、私はあんなにも簡単に――。


「どうして……。どうして私、あんなに簡単にしちゃったんだろう。どうして、初めてじゃないんだろ……っ」


どうしようもなく涙が溢れ出す。
消したくても消したくても消せない過去。
その事実にたまらなくなって二人にしがみついた。


「私、汚くって……サイテーだ」

「フミ……」


薫と真里菜が何度も私の背中をさすって、私は子供のように泣き続けた。